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研究開発内容

■2017年度 研究開発の実施内容

1.慶應義塾大学病院への検体管理システムの導入と運用:2015年度に開発したプログラムを慶應義塾大学病院に導入し、実際の臨床の現場で使用するための準備を行いました。2018年度からは、実際に慶應病院の中で実運用される予定です。

2.糖鎖解析研究:国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の、平成29年度「糖鎖利用による革新的創薬技術開発事業」の研究開発提案1「我が国の技術の強みと密接な医工連携体制を活かした 標的分子探索・検証のための多角的糖鎖解析システムの構築」(研究代表者坂元亨宇)の研究分担者として、糖鎖解析プログラムの技術開発を行いました(洪繁)。

3.遠隔で行う精神医療に関する日本医療研究開発機構(AMED)の委託研究:臨床研究等ICT基盤構築研究事業 医療のデジタル革命実現プロジェクト「遠隔精神科医療の臨床研究エビデンスの蓄積を通じたガイドライン策定とデータ利活用に向けたデータベース構築」の研究代表者として、遠隔医療のエビデンスの確立に関する複数の研究を行い、同時に遠隔医療に適したデータベースの在り方について検討、データベースを構築し、運用しました(岸本泰士郎)。

4.新しい検査項目の開発、新しい検査項目の選定、臨床的有用性を確認するための研究、臨床検査を含む臨床各科との共同研究:検査データの作成や専門的知識による研究支援を行っています。臨床研究のためのサンプル収集法および情報管理システム法の開発、 悪性腫瘍の微少残存病変の実用的な検査法とその効率化、標準化、尿検査の自動化と標準化、POCT( 臨床現場即時検査 ) の開発と普及、国内外の外部精度管理・精度保証の推進、LC-MS/MS による DNA メチル化定量解析、尿中 ステロイド代謝物解析の開発、微生物遺伝子診断法、特に全自動遺伝子検査装置の開発等で研究成果が得られ、国内外には発信しました(村田満)。

5.メタボローム解析研究:本年度は含硫アミノ酸代謝物ヒポタウリンが大腸がん細胞の酸化ストレス耐性に寄与することを明らかにしました。本研究ではCE-MSを用いたメタボローム解析、代謝酵素群の発現解析、イメージングMS技術を組み合わせたオミクス技術によってがん部・非がん部の代謝プロファイリングを調べ、ストレス耐性の新機序を明らかにしており、従来のグルタチオンのよる酸化ストレス軽減機構の他にもタウリン合成系ががん細胞の悪性形質獲得に重要な働きを持つ事が示唆されました(山本雄広)。

■2018年度の活動目標

2018年度も引き続き、AMED「糖鎖利用による革新的創薬技術開発事業」の分担研究を行います。また検体管理システムについては、2018年度中に実運用が開始できるように準備を継続していきます(洪繁)。

遠隔医療はいよいよ保健医療として社会実装の段階に入っています。遠隔医療は医療情報のデータベース化に親和性の高い医療形態であり、遠隔医療の推進を通して、次世代医療ICT基盤の構築を促進していきます。2018年度は精神科領域における遠隔医療の準備委員会の委員となり、社会実装に向けて、調整等を行っていきます(岸本泰士郎)。

各研究については一定の成果を得ていますが、今後も引き続き継続が必要です。一方で新たに学内の検体バンキングシステムに対応できるよう、検査室の対応を行っていきます(村田満)。

医化学教室における様々な質量分析技術を駆使することで、がん細胞、免疫細胞の代謝特性を明らかにし、それぞれの代謝リモデリングの「作用点」を引き続き明らかにしていきます。また2017年度の研究成果より、マウスがん移植モデルを材料としたラマン分光学的解析からがん部において特異的な分子振動シグナルを複数同定しました。2018年度はこのようながん特有のシグナルが術前精密検査や術中診断において活用する事が出来るかを臨床サンプルの使用を視野に検討します(山本雄広)。